職人の小さな仕事場のある住まい

職人が集中して仕事に没頭できる暮らし方とはどんなものだろう。ふと頭の中によぎったそんなところから手を動かしてみることにした。タイトルは「職人の小さな仕事場のある住まい」。

商店街から細い裏路地を抜けたところにあるような細長い敷地に仕事場が併設された住まい。道路に面したドアを開けると職人が手を動かして作業をする仕事場となる。配送されてくる荷物を受け取るにも都合がよく、北側に面することで太陽の強い光で目が眩むことも少ない。小さな窓から外を眺めながら仕事をするのも悪くない。

仕事場から奥に行くと工作機械などが置けるスペースがあり、その奥に材料や工具などを収納しておける空間がある。収納には窓がなく、太陽光で材料などが痛まないようにしたい。仕事場としてはこれだけだ。

仕事場から南へ抜ける扉の方へ行くと住まいとなる。1階はトイレや洗面、浴室などの水回りが中心で、仕事で汚れた手や体をすぐに洗えるようにしたい。太陽の光がたくさん入ってくる南側のテラスは汚れた洗濯物を干す場所としても有効かなと思う。

壁際にある一直線の階段を上がってゆくとダイニングやキッチンへと繋がる。2階にもあるテラス越しに光が入ってきて、きっと気持ちがいい空間になっているはずだ。その奥にはソファが置けるリビングとなる。リビングやダイニング、キッチンを抜けると大きなベッドが置ける寝室へとつながる。

複雑な形ではなく、シンプルな切り妻屋根の2階建ての仕事場のある住まい。職人が一生涯暮らしてもよいけれど、仕事が成功して大きな場所へ引っ越しても、結婚をして住まい方が変わって離れることになってもいい。次の職人が生き生きと仕事に没頭できたらいい。仕事場のある住まいのスタンダードを目指して。

仕事場は小さなお店としても活躍するかもしれない。工作機械などを置くスペースは書類づくりや会計処理などを行う雑務スペース、収納は商品のストック空間として利用できる。いろいろな使い方ができたらなお嬉しい。