ひとり暮らしの家

自分のために家を建てて、自分のために暮らす。パートナーや家族と共に暮らすのではなく一軒家でひとり暮らし。そんなライフスタイルに合った家があってもいいなと思う。

道路に面した部分は少しだけ閉鎖的な家だ。太陽の出ている時間帯は会社へ出勤していて家には誰もいない。大きな窓のガラスもカーテンもずっと閉じられた家は人気(ひとけ)もなく空気が動いていない。静まり返った家を道路から見続けるのは、犬の散歩で町を歩く人もきっと見ていて寂しいだろうなという思いから、小さな窓をいくつか計画しただけのファサードとなっている。

駐車スペースを抜けると太陽の光が降り注ぐ大きな庭と玄関が見えてくる。玄関の扉を開けると庭に面して広い土間が広がり、窓を全部開けるとテラス繋がる仕組みとなっている。会社が休みの休日には、窓を全部開けるとテラスに反射した太陽光が室内を明るく照らし、空気もファァっと駆け巡り、きっと気持ちがいいと思う。

土間はダイニングキッチンとも繋がっていて、友だちとワイワイ喋りながら昼間からお酒を飲んだり、BBQをしたりしてもいいし、土間を使って好きな自転車をみんなで整備してもいい。友だちが気兼ねなく集まれる場所として考えたい。

階段を上がって2階へ進むと、リビングや寝室、書斎などプライベートな空間が広がる。友だちと遊ぶ時間をオンとすれば、プライベートな時間をオフ。オンとオフを上手に使い分けて暮らすことができる。

2階建ての多い住宅地にひとり暮らしに最適な小さな家を建ててしまうと、リズムある綺麗な町並みを崩してしまう危険性が高い。建物の形や大きさが揃わない住宅地はあまり綺麗ではないと考える。無理に大きな家を建てる必要はないけれど、町並みを崩さない“室内の割にちょっと大きく見える家”を計画したつもりだ。