小さな古本屋を営む住宅

本が好き。子どもの頃から好きな人も大人になってから本が好きになった人もいる。読んで、新しい本を買って、また読んで、新しい本を買って。その繰り返しを何十年としていたら部屋が本でいっぱいになってしまうことも。子どもの頃に読んだ本は「懐かしい」という思いから読み直すことはあるけれど、大人になってから読んだ本は一度読むと二度と開かれない本も多いように思う。

読み終わったまま本棚に入れられて、二度と動かされないというのも寂しい。せっかくなら誰か別の人の手に渡って第二の人生があった方が本も幸せなのではないか?と思ったりすることもある。

古本屋さんをはじめる人の多くは、自分が持っていた本を売るところからスタートさせる人が多いらしい。自分が読んだ本をきっかけに、その本を読みたいというお客さんとつながり、会話も人の輪も広がっていく。

住宅の中に小さな古本屋さんを作るとしたら、どんな住宅になるんだろう。想像を膨らませてみることにした。

住宅地の一角に建つ古本屋さんを併設した住宅。1階は古本屋さんのスペースに加えて寝室や洗面室や浴室などの水回り、2階はリビングダイニングキッチンと書斎、子どもたちの部屋となる個室が2室ある。全て合わせて39坪の住宅を計画してみた。

古本屋さん(店舗)としては8畳ほどのスペースと、書籍をストックしておく場所として4畳ほどの空間があるだけ。ロードサイドにあるような数万冊、数十万冊の本を並べる大きな書店とは違い、二千冊程度のちょっとした本屋さん。店主の好みが色濃く出た本の数々を長めながら、店主自身が一番ニンマリと笑顔になる古本屋さんだ。

金曜日、土曜日、日曜日。週に3日程度の開店。万人受けするよりも物好きな人が集まる場所でたまに1人、2人、3人とお客さんがやってくるようなイメージ。家族で店番を交代しながら、ゆっくりとした時間の中で古本屋さんを営業をしていく。

建物の形は昭和の時代に建てられた木像校舎をグッとコンパクトにしたようなイメージで、誰もが学んだ時代を感じられる懐かしさがあるようにしたい。

本業の傍ら副業としての本屋さんのかたちがあってもいいなと思いながら、1軒の家を考えてみた。