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ショートストーリー × まちの中の住まいを考える

主人公はまちに生きる人、仕事をして、ご飯を食べ、毎日を大切に暮らしている人。まちは、家が建ち並ぶ住宅地、裏路地を入ったところにある通り沿い、畑と家が点在する地域……。

住まいの中にある何気ない場所がエッセンスとなって、自分や家族、近所に住む方々など、ふとした日常をほんのり色鮮やかに変えていくような…そんな場所があったらいい。朝日の当たるダイニング、街を眺められる窓際、緑豊かな庭、優しい日陰をつくる軒先…。風景に馴染み、特別ではない暮らしがそこにあって、元気な時も気持ちが優れない時も住まいや人がそっと背中を押してくれるような、そんな時間を刻む場所。

「ROOF」では、まちに生きる人と暮らしをショートストーリーとして構成し、物語を軸にその意味をほんの少しだけ考えていきたいと思います。


ROOFは、暮らしの中心である「住まい」と、家が建ち並ぶ「まち」との距離を近づけたいという思いから作り始めました。

例えば、家の形によって人がつながるきっかけが生まれたら嬉しいと思っています。倉庫に眠っている本を家の一室に並べて私設図書館を開設し、不特定多数の人とつながり会える場をつくることも、家の前にベンチを置いて休憩場所をつくることで、近所を散歩するおじいちゃん個人とつながるようなことも、住まいとまちがつながる一つの方法と考えています。

また、人だけではなく生きものとまちがつながることも大切であると考えています。隣り合う家の庭が塀なく繋がることで、小さな虫たちは少しだけ遠くまで冒険することができ、広がった行動範囲は仲間とつながる可能性を生みます。隣り合う家の草花に同じチョウチョが行き来すれば、共通の話題で人同士もより深くつながるきっかけをつくります。

まちに建ち並ぶ家、その場所に暮らす人や生きものがつながっていき、たくさんの感情が生まれ、毎日の生活を豊かにしていく。住まいとまち。大きく太く繋がることも細く小さく繋がることの“面白さ”や“大切さ”などを考えていくことができればと思っています。

古池弘幸建築設計事務所