ひとり暮らしで猫と住む家

ひとり暮らしをしていると猫と一緒に過ごしたくても「かわいそうかな」という思いが先行してしまう。一緒に過ごすことができる時間は平日の夜と休日のみで、自宅ではなく会社へ出勤をするライフスタイルでは、一緒にいられる時間は限られる。平日の昼間に家にいるのは猫だけ。

産まれてからずっと一緒に生きてきた仲の良い兄弟姉妹の猫と一緒に暮らすとしても、何となく家の中で悪さをしていないかな?仲良く暮らしてるかな?という思いは頭の片隅から離れないかもしれない。

それでも猫と暮らしたい。

猫と一緒に暮らしたい理由は人それぞれだと思う。猫と一緒に遊びたかったり、性格や仕草が好きだったり、モフモフしたかったり。人の視点だけで見れば愛情を注ぐ場所、日々の満たされたい欲求を埋めるためかもしれないけれど、猫が好きな理由は、理屈ではなく単純に好き。一緒に暮らしたいということだと。

人と猫をいい関係で暮らすことができる場所とするために、家ができることは何か。

人がいない時間帯に猫が少しでも過ごしやすいように、家の中で猫が入ってもよい空間と入ってほしくない空間を分けることが大切だと考えている。例えば、玄関は猫に入ってほしくない空間。誰かが玄関を開けたときに逃げていってしまわないようにしたい。もちろん、家主が会社から帰ってきて玄関の扉を開けた瞬間に猫が外へ出て行ってしまったという事故も避けたい。

同じようにトイレや浴室、脱衣室には入れないようにしたい。浴室の浴槽に間違って落ちてしまったり、トイレの便器内に落ちてしまったりする事故は万が一でも避けたい。

物が置いてある収納庫や衣類を収納しているクローゼットも猫を入れないようにしておく。狭くて物が多い空間は猫が大好きな場所の1つ。猫が入ってしまうと箱が棚から落とされていたり、服がグシャグシャになっていたりするのは目に見えているからだ。

その他のLDKや寝室、ロフト、洗面スペースなどの空間は猫が入ってもよい空間。洗面カウンターの下に猫用のトイレを設置しておけば、落ち着いた囲まれた空間で排泄しやすく、換気も24時間することができる。汚れたら大きめの洗面器で洗えばいい。ただ、勝手口から猫が飛び出さないように、洗面スペースへ繋がる部分には戸を設けておきたい。

平日の昼間。家の主人は猫だ。好きなように歩き回って、寝て、食べて。

猫が日向ぼっこできるように、南側に掃き出し窓を設けて、太陽光が存分に入るようにしておく。LDKにあるソファの上でゴロゴロしてもいいし、平らなクッションの上でも、寝室にあるベッドの上でもどこでも寝られる。

平面的な動きだけではなく、上下方向の動きができるようにロフトを計画しておく。ロフトは人間の法律では物置扱いだけれど、猫にとっては人の手が届きにくい自由の空間。好きなように上からLDKを眺めたり、壁の上端を歩いたり、死角でゴロンとしてかくれんぼしたり。猫の遊びエリア。ロフトには猫が眺められる窓を設けて、道路を歩く人を眺めたりすることも、家主が家に帰ってくるところを確認したりすることも、飛んでいる鳥を狙ったりすることもできる。きっとやりたいことをやりたい放題できる場所になると思う。

人も猫も快適な時間が過ごせますように。